ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

グーグルは自らのミッションを「世界中の情報を組織化(オーガナイズ)し、それをあまねく誰からでもアクセスできるようにすること」と定義している。(p.50)

これは凄い考え方。すべての情報をすべての人に。最近では大学などの研究機関でもオープンアクセスの動きが盛んになってきているし、図書館でも図書や雑誌などの物理的なメディアだけに限定せずにオープンアクセスを実現していこうという動きはあるけれど、グーグルの考え方はもっとラディカルに突き抜けている。こんなグーグルのようなサービスを無料で使用できる時代に、図書館は一体何をするべきなのかというのは結構やっかいな問題になる。グーグルやアマゾン、はてななどと協力して、新たな図書館経営モデルを作ることはできないだろうか。

リンクという民意だけに依存して知を再編成するから「民主主義」。そしてこの「民主主義」も「インターネットの意志」のひとつだと、彼らは信奉しているのだ。(p.54)

ここでおもしろいのは、リアルの民主主義と、グーグルの考える「民主主義」どんな風に違うのかというところ。リアルの民主主義はおおまかな合意を形成し、あとは一部の人間がその合意を元に詳細を決めていく。例えば、私たちは国会議員を選ぶことができるけど、1つ1つの法律を国民一人一人が立案することはできない。しかし、グーグルのシステムはウェブサイト間でどのように相互リンクされているかを解析することで、言葉の組み合わせと情報をどう結びつけるのが適切なのかを決定している。これは一人一人がどのようにリンクを張るかということが検索結果に直接的に影響することになるということだろう。言葉の組み合わせは無限にあるが、リンクの張り方もまた無限近く存在する。つまりサイト間のリンクが増えれば増えるほど、検索のキーワードとそれに対応する最適な情報の組み合わせ方についての合意形成が緻密になっていくということだろうか。グーグルのシステムについてもう少し勉強してみたい。勉強不足だ。